今日の定例会のテーマは
「目黒区ICT今昔物語」
講師は、メネビスクラブも大変お世話になりました元目黒区産業経済部長の田島 隆夫様です。
目黒区のみなさまは目黒区の「住民基本台帳」に記載されている情報をもとに
「投票所入場整理券」や健康保険の「資格確認通知書」や「保険証」が送られてきます。
また、窓口で「住民票」を取得されたり、住区センターなどの施設予約をするためのシステムなどを
ご利用されたことがあるかと思います。
このような目黒区の行政業務と区民サービスに大きく関わるコンピュータやデータ通信を使った
デジタル技術の仕組み(ICT:情報通信技術)に多年携わったのが田島様です。
区の重職を歴任された田島様が区役所入庁時に配属されたのは電子計算課でした。
・全く経験のないコンピュータの仕事を命じられた
・プログラムを組むために、しばらくは職場でプログラムについての教本を読むことが仕事
・コンピュータで出力された紙は個人情報であり、廃棄には全部シュレッダーをかけた作業が必要で
そのとき、誤ってネクタイが紙とともに引き込まれ、ネクタイがソーメンのように裁断
・急遽ネクタイを買いに出かけたが、自宅と役所の通勤経験しかなく、区役所に戻るとき迷子となり
「区役所はどこですか?」とたずねたことも
当時の電子計算課は役所内では「変わった人たち、異端」と見られていたそうです。
今は昔、当時の目黒区に導入された大型コンピュータの仕様は
・メモリ4MB(住民記録、税務、国保業務などに使用)※今のスマフォのメモリは4GB=4,000MB~
当時は現在のようなローマ字入力のソフトウェアの対応のものでなく
漢字入力するための専用のキーボードを電算職員が使っていたそうです。
・漢字入力専用キーボード:一つのキーに複数の漢字を割り当てた巨大なキーボード:12行×18列
・アイウエオ50音キーボード:よこに「あいうえお」、たてに「あかさたなはまやらわ」の50音を
配置したもの
区の出張所(住区サービス事務所)にパソコンとプリンタを配置して
通信回線でつないで紙の住民票を渡せるようにしたのですが、コンピュータのソフトは動かず
ネットワークはつながらず、出張所でのクレームが多発したようです。
ときには、出張所のパソコンが故障すると、急ぎのお客様に対応するために本庁から予備のパソコンを
路線バスで運んだとのこと。そのときの乗車時に持ち込んだパソコンは8kgあったとのことでした。
なお、当時のプリンタは24kgで一人では運べなかったそうです。
プログラミング言語には生産性が高いと推奨されたMANTISを使ったが
当時のパソコンでは処理能力が不足しており、パソコンのエンターキーを押して反応があるまでに
数分かかったこともあったとのことでした。
1997年頃、区のホームページをオープンされました。
当初は「こんなものは5年から10年ですぐにすたるよ」との声もあったそうですが
田島様は「将来は絶対にみんなが使うようになる」と思われたそうです。
また、施設予約システム構築の時は、なかなか住民の方々の理解を得られなかったそうです。
以上のような大変な状況の中で
区のデジタル情報処理(ICT)システムが安定していったポイントとして
・コンピュータの高性能化
・トラブルに強いシンプルで最小限なシステム構築
・情報処理業務経験者が部門の責任者となり、各業務の管理をしたこと
・システムの利用者にご納得をいただきながら進めていったこと
などを挙げられました。
田島様は今、日本語学校で留学生に日本語を教えています。
昔、入庁時に知らなかった言語を習得して、実務で活用されてきたご経験は
今もきっと活かされていることと筆者には感じられました。
本日のご講義内容はコンピュータが苦手な会員にもわかりやすく、面白く感じられたそうです。
益々のご活躍をお祈りしております。
メネビスクラブの運営にもデジタル技術を活用しています。
会員専用サイトでの通知・連絡や、メネビスクラブのホームページのアクセス分析などなどです。
定例会の後は花束贈呈対象者の笑顔に加えて、新入会員の方が入会してくれました。
メネビスクラブの今昔物語もアップデートされていく夜となりました。



















